6年生 拡大図と縮図 緑表紙教科書を使って

算数

本当に久しぶりの投稿となってしまいました。

今回は6年生 拡大図と縮図の1コマを緑表紙教科書を使って授業をしてみませんか?

という内容です。といっても、「そもそも緑表紙って何?」という方もいらっしゃるかもしれませんので簡単にその内容を説明してから授業の実際に入っていきたいと思います。

緑表紙教科書って何?

緑表紙教科書というのは正式には「尋常小学算術」といいます。

昭和10年(1935)4月~18年(1943)3月まで使われた国定教科書で、編集責任者は塩野直道です。表紙が緑色だったため、「緑表紙」とよばれました。

それ以前の尋常小学算術書は表紙が黒かったため「黒表紙」と称されています。

「黒表紙」は計算と知識中心で授業は注入主義、鍛錬主義、求答主義でした。

この黒表紙の問題点の指摘や批判が1918年頃から始まり、新しい教科書が編纂されました。

緑表紙の目的は、 数理思想を開発し、日常生活を数理的に正しくするように指導する」ことであると言われます。

数理思想とは、数理を愛好し、自然現象、社会現象、精神現象、その他各現象の中に数理を見出し、これを解決し、数理的に正しく生活せんとする精神的態度のことを言います。

と、緑表紙について今回は詳しく書くことが目的ではないため今回はここまでにして実際の内容に入っていきたいと思います。

6年生 拡大図と縮図 授業実践

実際の問題

使ったのは「尋常小学算術6年上 P.69 色々ナ問題」にある次の問題です。

授業の流れ

授業ではまず、問題文を提示してみてください。まず問題文が漢字やカタカナばかりのことに子どもたちは興味を持つはずです。

そして、その後はこの問題文通りどこを求めても良い問題としてもいいのですが私は、

「校舎の横の実際の長さはどれだけでしょう?」

という問題にしました。

しかし、この図はどこにも具体的な数字が入っていません。

これじゃあこの問題は解けないよ!

授業をする際にあえて問題を解く上での条件を削る「条件不足」という提示の仕方を私もよくしますが、戦前の教科書でもそのような問題提示をすることで子どもたちの主体性を引き出そうとしているのがすごいですね。

私はさらに図の下にある「1:1000」という縮尺さえも隠して問題を出しました。

さて、ではこの問題は解くことができないのでしょうか。そんなことはありません。

子どもたちはこの図と睨めっこしているうちにあることに気が付きます。

みなさんだったらこの図のどこに注目しますか。

先生、これってテニスコートじゃない?

子どもたちは、

右下にあるものがテニスコートなのではないか?」

と話はじめました。そこで、

「もしこれがテニスコートだったとしたら」

という仮定で問題と向き合っていくことになりました。

しかし、テニスコートだとしてもテニスコートの1辺の長さを子どもたちは知りません。

iPadで調べてもいい?

そんな時には、

「iPadで調べてもいい?」

と自由に話せるようなクラスづくりが大切です。

調べてみるとテニスコートは横が10.97mとのこと。

図の1辺を測ると、約1.1cmありました。

10.97m≒11m→1.1cm

であることから縮尺が1/1000であることがわかります。

あとは、図の中の長さを測れば実際の長さもわかります。

ちなみに校舎の横の長さは9cmですので、

9cm×1000=9000cm=90mとなります。

おわりに

戦前に使われていた教科書である緑表紙教科書。それでも子どもたちは動き出し自分たちで知りたいことを見つけ、問題に向き合っていきます。

興味がある方はぜひ手にとってみてください。

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